そうだ、京都へ行こう。
2007'03.18.Sun
京都フォーラム1(2007/3/17)
行ってきました京都!
そう、外交フォーラム イン 京都-麻生外務大臣と語る120分-「日本外交の新機軸」に参加してきたのです。
このところ立て込んでいて体力がエンプティー状態で心折れそうになりつつも、「えーい、道中寝てけばなんとかなる!」と気力体力振り絞って行った甲斐がありました。すごく楽しかった!
会場は報道によると1100人ということでしたが、満員盛況。
開会前にはスタッフさんからも、「席に余裕がないので荷物は隣の席に置かないでください。」とのアナウンスがしばしば入りました。
今回の予約は先着順で、途中で募集を打ち切ってたくらいでしたしねえ。
次こそ目指せ武道館?!
以下、講演会の内容に触れますが、メモ頼りなので、内容や文章は発言概要ということで御了承ください。
外務副報道官の谷口智彦さんの司会ではじまりはじまり。
以前のタウンミーティングのときも、谷口さんは開会の挨拶の枕に、麻生さんの小ネタを挟んでいましたが、今回はこれ!
アメリカのライス国務長官がアメリカのスポーツ専門チャンネルに出演。
ライス女史の夢は「アメリカンフットボールチームのオーナーになること。」なのだそうで、番組でも実に楽しげだったとか。
そしてその番組の司会者が「海外の要人ともスポーツの話をするんですか?」「ええ、しますよ。」
まず名前が挙がったのがオーストラリアのハワード首相。「彼はすごくスポーツが好きなの。」
そして、その次に名前が挙がったのが麻生さん。「Taro Aso is great sports fan」
谷口さんも「外相たちが楽しそうにヒソヒソしているときは、こんなこと話しているんでしょうか。」なーんて言ってましたが、会談前の頭撮りで大笑いしているときは、こんなやわらか話が多いのかもしれませんね(笑)。
そういえば昨年行なわれたのWBC(ワールドベースボールクラシック)のときなどは、駐日アメリカ大使シーファー氏と一緒に決勝戦を見たそうです(2006年3月22日参院外交防衛委員会・川口順子議員への答弁より)。
アメリカは決勝戦に進めなかったのに、勝負事にこだわるアメリカ人としてはずいぶん寛容な人だと妙に驚いたんで、よく覚えています(笑)。
アメリカの要人のあいだでも、麻生さんのスポーツ好きはすっかり有名なのかも。
そしていよいよ本題。
まずは麻生さんの講演から始まりです。
「御紹介いただきました麻生太郎です。今日はお忙しい──というより、暇だから来られたんでしょうけど(笑)、遠路、京都府外からも足を運んでいただきまして、ありがとうございます。」
のっけからジャブが(笑)。場内も笑いに包まれます。
「日本外交の新機軸」ということで、「自由と繁栄の弧」構想が中心の講演でした。
「総務大臣だったのが外務大臣へと就任。
minister of internal affairからexternal、180度仕事が変わりましたが、以来500日いろいろなことがありました。
その間よく感じるのが、私が思っていたより日本の国際的な評価が高いこと。
日本の新聞を読んでいると、まるで下がっているようだけど、それは事実を曲げているか、そう書きたい人がいるのかわかりませんが、むしろ評価は上がっています。」
そしてスライドに映し出されたのがこの写真。
相撲土俵供与式(2007/1/11)
「なんだかよく分からんでしょうけど、真ん中の人だけがお相撲さんじゃない。」
何度も見た写真なのに、麻生さんのとぼけた言い回しに、また笑ってしまいます。
「彼らはブルガリアのお相撲さんです。
ブルガリアっていったらヨーグルトぐらいしか思いつかないでしょうけど、今年の正月明けにブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、チェコと分かれたスロバキア、この4カ国に行きました。
外務大臣ってのはこういう旅が多いから、二期連続でやると大体早く亡くなるか、大病して肝臓分けてもらうか。私ももうすぐそうなるんでしょうけど。
そのときに、ブルガリアのスポーツアカデミーへ寄りました。
琴欧洲がブルガリア出身ですが──彼は、第二の大使といってもいいぐらい値打ちのある人だと思っていますが──このブルガリアが相撲のおかげもあってか、すごく親日的な国。
このブルガリアも含めた新しい国々の、国づくりのお手伝いをさせていただきたいと思っています。」
スライドに映される「[中]+[韓]+[露]≒[日本]」という文字。
「不思議な式だと思うでしょうが、これはいまのGDPを比べた式です。
アフリカ53カ国のGDPを全部足すと、韓国と同じくらい。地図で見た国の面積の大きさで考えちゃいけないよ。」
と、各国とのGDPを比較説明。
「日本はこれまで『何を考えているんだか分からん。』と言われてきました。
日本の独立は昭和27年4月28日、以後50数年、日米基軸、国連重視、近隣友好を三つを日本外交の基軸としてやってきました。
そして今後は、「思想」──自分たちの考え、「オレたちはこういう心意気でやりたい。」、そういう旗印を付け加えることが新基軸の新基軸たるゆえんです。」
そして、イラクの『キャプテン翼』の給水車のエピソードの紹介がありました。
詳しくはこちらで↓
サマーワ「キャプテン翼」大作戦-給水車が配る夢と希望-その1、その2、その3
「この絵は日本の国旗よりよっぽど現地では有名です。」
え、そうなの、という感じの聴衆に向かって麻生さん、
「日の丸だけじゃなかなか分からん。皆さん方も『これがイラクの旗だ。』とすぐ言える人はほとんどいらっしゃらない。そら向こう様も同じこと。『白地に赤く』って誰もが知っているなんてうぬぼれです(笑)。
斯様にサブカルチャーというものが、日本という国のイメージ、ブランドを上げてる。皆さん方が思っているより、はるかに影響力が大きいのです。」
そして新基軸の紹介。
「弧」にあたる国々を地図で示して、
「こういった弧をなしている国々はちょうど旧社会主義国、旧ソ連圏の国です。
これから民主主義ですとか、新しい方向へ向かって歩みだそうとしている国、そうしたいと思っている国、日本はそういう地帯に、民主主義とか、人権の尊重とか、法の支配とか、市場経済、そういった普遍的価値を大切にする国々が増えるように手伝いたいと思っています。
それを「『自由と繁栄の弧』をつくる」──Arc of Freedom and Prosperity──と言っております。」
「その実証例はアジアです。
かつてアジアは「貧困」の代名詞でした。
それが日本との付き合いが深かった国から順に離陸していった。
台湾、韓国、シンガポール、マレーシア。通称FOUR DRAGONSとかMINI DRAGONSとか言われた時代がありました。
シンガポールは宗主国だったイギリスより、一人当たりのGDPは高くなった。
北京より貧しかった台北がとても元気な都市になった。
これらの国々が日本と極めて関係が深かったのは事実です。」
「日本人は間違いなく現場で、現地の人と一緒に働く。
何事も時間通り。納期を守る。約束はきちんと。
こういうことをやれたところが中産階級──middle classの層が厚くなり、そこに民主主義が根付く土壌ができる。
こういうことは50年かけて、われわれも習ったことです。」
「民主主義は簡単に根付くものではありません。われわれだってそうだったじゃありませんか。
右から左へ『ハイ、ミンシュシュギ!』なんて言ったって、そんなに簡単にできるものではありません。
焦ることはないんです。こっちも長い時間を掛けてやってきたんですから。
いろいろな形の民主主義もあるでしょう。
ソ連邦から独立して15年強、いま踏み出そうとしている国々に、『これをやれ』、『ああしろ』というのではなく、『一緒にやろう』と。
俺たちだって戦争に負けてクチャクチャだった。
でもお宅の国には資源がある。しかし俺たちには資源なんてなかったけど、ここまでやってこれた。
俺たちにできてお宅らにできないはずがない。俺たちみたいにやったらできますよ、と。」
そしてカンボジアで民法、民事訴訟法の法整備を支援している三人の女性の話。
「若い女性がやってるんですよ。ご年輩の方から見たら“ネーチャン”みたいな人たちです。
このネーチャンが間違いなく、日本の民法を普及させるために頑張っている。
日本の企業も、似たような民法があれば理解が早いから進出しやすくなる。」
そして富士メガネという会社のやっている視援隊の活動について触れていました。
麻生さんは、富士メガネでメガネを作ったのがきっかけで、この活動を知ったのだとか。
これはメガネを作りかえるときに、購入者の古いメガネを「いらないなら下さい。」ともらって、そのたくさんのメガネをタイ、ネパール、アルメニア、アゼルバイジャンなどに自分の社員たちと一緒に持っていき、視力回復のお手伝いをしているのだそうです。
そして古いメガネを調整して、それをかけたおじいさん、おばあさんが「孫の顔が見えた」、「失くした視力を回復してくれた」とわんわん泣いて社員の人に飛びついてくる。
ここの社長の金井さんは「嬉し涙とともに記憶される日本人でありたい。」と麻生さんに言ったんだそうです。
「彼はそういう精神でやっています。『自由と繁栄の弧』というものも、私は金井さんに教わりました。」
「われわれはそこの国の人たちが豊かになることによって、将来の希望を見る、自分に自信を取り戻し、将来を楽観し──結果としてそれがテロを防ぐと思います。
私は、テロリズムというものの多くは、貧困と絶望の中から生まれると思っています。
失業率が40%。日本じゃ4%。失業率が40%という中で希望を持てる人の方が少ないと思う。
そういう地域にわれわれは手を貸していきたい。」
先日日本で行なわれたパレスチナ、イスラエル、ヨルダン、そして日本の4者会合のいきさつにも触れていました。
「日本という国が信用されたのは、東洋人だということともうひとつ、日本という国が、自国の文化を維持しつつ、先進国の一角に食い込み、近代化をやってのけた唯一の国だから。」
これはアラブの王様などから言われたことなのだそうです。
「若い人にはサブカルチャー。企業人には治安の良さ。そして、自国の文化をきちんと維持している。なんといっても経済力はアメリカについで二番目である。そうしたことをみんなが知っている。
日本の信頼はそうしたことが全部が組み合わさっている。日本のブランド力を高めている。
そうしたことを踏まえたうえで、日本外交をやっていきたい。
われわれは軍事力を使うわけじゃない。しかし経済力に関してはアジアで成功させてきた経験がある。知見がある。
そうした背景を持って、「自由と繁栄の弧」というユーラシア大陸の周辺地域に、新しい基軸を打ち出して、成功させる。こうした地域を安定させていく。
それらが結果として、日本に対する信用に繋がり、それが日本に返ってくる。
時間のかかる話だとは思いますが、われわれはこの哲学でこれまでやってきた。
日本の「労働に対する価値観」を共有していけば、この地域も一歩一歩前進していける要素がある。そう思っています。」
よく聞く話も多かったのですが、やっぱり実際聞くとこう・・・力が沸きますね。
そして次が参加者との質疑応答に移りました。
領土問題について
領土問題はまだ決着していない。
双方言い分があるので、どこかで政治的決着を図らねばならない。
日露間で次官級協議をスタートさせた。
「自由と繁栄の弧」は中国やロシアを刺激するのではないか
自分の国の回りのことだから反応があるのは当たり前。
こちらとしては、お宅らのためにやっているのではありません。こうした小さな国々が踏み出す手伝いをしているだけ。
やりたいならお宅らもやればいい。ただ、そういう国がイヤで独立したんだから、感情面でうまくいかない。おもしろくないんでしょう。
だから石油を止めてみたりいろいろ忙しいわけです。(場内笑)
そうするとますます──男女関係みたいなもんでして、冷たくされたら、冷たくされたほうによるか、違う相手に乗り換えるか、こういうところです。
とりあえず抗議が来ているということはありません。
日豪EPAについて
日本は豪州からのエネルギー輸入が大きい。OGビーフと称するオーストラリア産牛肉の輸入も、BSEの騒ぎでえらく増えた。鉄鉱石の輸入も多い。
価値観をほぼ共有しているので、豪米などのここらの国とうまくやっていくのが大切。
オーストラリアにしても日本は輸出相手国としてとても大きい。
そこで自由貿易をやろうとすると、問題は農業。
南半球と北半球の違いで、むこうのさくらんぼが終わるころ、こっちのさくらんぼが出来るわけだから、うまくやってきたところはある。
ただEPAやFTAは、急にやった場合は日本の農業に与える影響は極めて大きい。
われわれは守るべきものは守らなきゃいけない。
後継者のいない農家は間違いなく増えている。
このままでいったら跡継ぎがいなくて農地を放逐していく人が増えていくのは間違いない。
そこで構造改革といっているが、十年一日で一向に進まなかった。
ところが事情が変わった。
日本の米は高い。ただし「美味い・安全・キレイ」この三つが日本の農産物の特徴。
だから金持ちが安全がいい、健康志向で買いたがる。
最近『健康』ってのは宗教みたいになっていましてね。(場内笑)
『死んでも健康』なんて、順番が違うだろっていうくらい。
そういう不思議な人が──そんな健康で何するんですか、といいたくなるような人がいっぱいですけど──そういった人がアメリカでも増えてる、中国でも増えてる、ものすごく増えた。
「日本のメシが健康にいいらしい」──本当かどうか知りませんよ、これが定着しつつあります。
お酢の入っているスシ、このスシというのがえらく広まった。
外米を冷やして食べた人はそんなにいないと思いますが、こらあまり美味くないのに冷やしたら決定的にまずくなる。
私外国に住んでましたんでやったことがあるが、これが本当にマズイ。
日本のヤツだけが冷やしても美味い。
いま中国で使っているスシの米はキロ1000円。
どこに売ったほうが得かと、そのくらいの計算できるでしょ・・・とこういうことを言うから農村票がぜんぜん入らない(場内笑)
ところがそういう中国は正式な輸入を認めてない。梨と柿しか認めてない。
でも梨1個1000円ですよ。りんご1個1000円。
むかし日本でもメロンを桐の箱に入れて売ってたフザケタ時代がありました。お前陶器納めてんじゃないんだぞと。
ふざけてるけど、そのくらい値打ちがあった。いまはあの国がそう。
苺のあまおうが1個450円。銀座でもそんなにしない。
ふざけてると思うでしょうが、それが売れてる。
強制して買わせてるわけじゃない。だったら高く買うところへ輸出すればいい。
それが金を稼ぐことに対する発想のない人たちの弱点。私はそう思います。
いま密輸で売られているものを正式にしろと交渉している。
100万トンあまっている米を輸出したら1兆円。その分、政府の補助金も減らせる。減反している農家にもどんどん作って輸出してくださいと言える。
結果として農業が商売として海外に売れるようになる。
スシ米としてうまいから。これが大事。
炒飯やるのに向いてるなんて言わないよ。カレーライスに日本米は向かない。そういった向き向きがあるんですって。
銀シャリがうまいなんていうのは、われわれのような貧しい世代の人。若い人は炒飯は長粒種のが美味しいっていう人がいっぱいいますから。
「農業がまたやられる」という被害者意識でなくて、攻めていかないといけない。
北朝鮮外交について
北朝鮮という国は核がなければ最貧国。
自分に注目を集めようと思ったら核を使うというのはその国の外交政策として一概に間違いとは言えない。外交のプロだったらそう思うだろう。
事実、核実験をした途端にこの最貧国の周りに中露米日韓こうした国が集まった。核がなければありえない。
しかしこういうことをやったとき他国の反応がどう出るか計算をしてもらわないと困る。
ミサイル、核と来て5カ国の反応はまとまったと思います。
ミサイルまでは各国足並みはそう揃っていなかった。
実際、ミサイルのときは国連決議に11日かかった。
核実験後は6日で決議案がまとまり、制裁が決まった。結果、制裁の効果が北朝鮮に対して大きいものになった。
4/19までに要求を呑むのであれば100万トンの石油の支援が決まっている。
寧辺の核施設の封印、IAEAの査察受け入れ、それができたら支援ということになった。
ただ、日本は核の仮想被害国としては一番だが、拉致がある。
拉致に対してきちんと対応しなければ支援はできない。他の4カ国もそれは納得している。
だから北朝鮮に対して「きちんと日本に対応しろ。そうでないと俺たちの出す分が増える。」と言う。
これが六者協議と二者協議の違いです。六者でやってるからみんながそう言う。
これでしばらく押したり引いたりしますんで、核の無能力化が終わるまではしばらく時間がかかる。
「北朝鮮を核保有国とはしない」こういう方向で進みますんで、さらに五者の連携を密にしていきます。
インドの話
インド、中国が出てくるから大変だと新聞には書いてある。
しかし、競争力のある相手が出てくるのはいいことだと思う。
われわれは競争しなければ伸びることはない。企業もスポーツもライバルがあるから努力する。
われわれは何を得意とするのか。
われわれはいま消費財を作っていない。経済用語で言う資本財を作っている。
簡単に言えば「機械を作る機械」、「自動車を作る機械を作る機械」。いわゆるマザーマシーン。金型みたいなものです。
皆さんが持っている時計の針は100%スイス製だけど、日本の金型以外で作られている針はない。
そのくらい日本の資本財は強い。
われわれはその点において引けを取るつもりは今後ともありません。
そこが製造業の一番の強さだと思うが、これにロボットいうものが加わっていく。
確かにインドはソフトがすごい。日本は9×9までだけどインドは19×19まで全部言える。ゼロを開発した国でもある。
そうしたソフトが強いインドとハードの強い日本が組めば、新しいものがそこから生まれると思います。
日米基軸が揺らぐのではないか。
世界の中で経済力の1番と2番、2カ国で世界の総生産量の40%、その二つがやたら仲いい。他の国がおもしろいわけないでしょうが。(場内笑)
われわれの世界だって1番金持ちで喧嘩が強いヤツと、2番目のヤツが仲良かったら、他の奴らは対抗しようがないですもん。
おもしろくないんですよ。
しかも顔の色も違うし60年前は戦争までしてた。そんな二人にパッと組まれてずーっと、そらおもしろいわけない。
だからこの二カ国を裂こう裂こうと思うのは、他の国の外交官だったら当然の対応なのだと思います。
したがって日米は基軸になければならない。
イスラエル、パレスチナ、レバノン、アメリカの第一回の会合の終わったその日の晩、イスラエル外相から電話が掛かってきて、その会合の内容を全部話してくれた。
アメリカとの関係だけ良くしておけばいいと考えていたイスラエルが、その内容を日本に教えてくれる、即。
「われわれはこういう話をした。どう思う?」
日本が頼りにされるようになってきている。
日本だけがイラクにおいて成功した理由はなんだ?
フランス国防省の雑誌で「何故日本だけがイラクで成功したのか」という論文が出た。
なぜ自衛隊だけが成功したのか、なぜ撃たれなかったのか。
なぜなら彼らだけがイラクの人をして「イラクのために来てくれた外国の軍隊」と思わせた、たった一つの軍隊だったから。
としてやり方が書いてあった。日本の基地でやっているのと同じこと、でも外国ではめずらしい。
バグダットまで去年の夏に行きました。「自衛隊に是非留まってもらいたい」と言われた。
その理由は士気の高さ。「婦女暴行ゼロ、無銭飲食ゼロ、脱走兵ゼロ、素晴らしい。」
そして解団式には総理、防衛相と一緒に行った。
みんな二十歳前後のアンチャンですよ。
だけどこの子が間違いなく日本という国のブランドを高めている人たちです。
そうじゃなきゃ日本人見ることはないんだから。
ソニーやマツシタは持ってるだろうが、あの地では日本人は若い自衛隊員しか見たことがない。
その自衛隊員がいいから日本のイメージが上がる。
日本のイメージを上げているのは政治家でも外交官でもない。
そういった若い隊員が、漫画家が、あの地においてはよほど影響力がデカイ。
そういう視点で見ていかないと、日本の国力やイメージを見誤る。
日米基軸を大事にしながらも、それはそれとしてやっていかないと。
アメリカに何でも聞くわけじゃない、もちろんアメリカだって日本に全部聞くわけでもない。
基本を外さなければ、大きく間違うことはない。
少なくとも日米関係でその種のことがごちゃごちゃすることはありません。
NSCについて
日本でも警察や防衛省、外務省、公安調査庁、いろいろ情報収集はしているが、その情報の共有し、どう生かすか。
9.11のときもCIAで情報は掴んでいた。
それがうまく連絡できていずにあの騒ぎになった。
ロンドンはその経験に学んで事前に大きなテロに発展する前に未然に防いだ。
いくつかの例があるが、日本としては情報を選択し、コントロールしていく、役に立てるということをシステマティックにやっていかなければならない。迅速にやらなくてはならない。
国家安全保障会議は大事だが、たんびたんび閣僚を12人も集められない。
総理、官房長官、外相、防衛相の4人だったら、「2時間後にやります」となっても直ちに対応できる。
そういうことも踏まえて新しく組織を作ることになった。
ただ、極秘情報を扱うことになるので、守秘義務、秘密保護ということをきっちりやらないと。
この情報が出たらその責任は取ってもらいますよと。
そういう覚悟はきっちり持ってもらわないといけないんじゃないかと私は思います。
この仕事を請けるからには口の堅い人でないといけない。
海外の自由化を進めようとしているが、アメリカは失敗しているんじゃないか。
アメリカが失敗したという前提に立つなら、私は失敗したところと成功したところが両方あるんだと思う。
アメリカの場合は、製造業で日本に負けたんですよ。自動車がいい例でしょう。
しかしその自動車は、トヨタ、ニッサンはアメリカで自動車を作り、アメリカはその自動車を輸出して、その金はアメリカに入っている。
そういう意味で、あの国は世界のものを買う力がある。売る力じゃない、買う力があるんです。その力で、経済が回っている。
アメリカっていうと、何となく悪く言うのが流行っているけど、われわれはその力の根源を見誤ってはいけないと思う。
(「自由と繁栄の弧」に関して)
海外の話は、これは施しをやる話ではないのです。
海外の人たちに対して一緒に働こうという話で、魚をあげるんじゃない、釣竿をあげましょう、釣り方を教えましょう、でも餌はそっちで探してください、そういう話をしているんです。
格差の話では、日本は一番貧しい人の数が増えた、と言われていますが、金持ちの人の数も減ってるんですよ。
しかし企業は儲かっている。
企業が儲かった金をどうやって分配していくのか。
企業はながーいこと不況に喘いできました。
だからリストラを徹底してやらざるを得なかった過去の例からいうと、ボーナスは払う、でもベースアップは、ついこの間までのことを思い出すと腰が引けてしまう。
事実物価はマイナスですからいいじゃないか、という考えとのせめぎあいになっているが、企業の方も考え方が変わってくるでしょう。
企業も景気が良くなってきたから、この4年間は正規雇用が増えている。フリーターが増えたといっても、この4年だと減ってきている。
それがいまの数字です。前年度比で見ると、変わりつつある。
戦後初めて、正確に言うと、昭和7年高橋是清大蔵大臣以来、初めてデフレの不況をやった。日本だけが初めてやった。
初めてのこととはいえ反省点もある。これも企業努力で、企業が債務超過を回復した。企業が底力を出しつつあるんだと思う。
海外のそれらの伸びていこうとしている国々のレベルが上がり、日本の物が売れ、いい意味で、好循環にしていかなくてはいけないのだと思う。
大臣の「中国の民主化を期待する」という論文が中国に与えた影響の大きさについて
重慶のサッカー場での応援が甚だ公平性を欠いたということで、日本のレストランに石を投げられたというようなことがあった。
あの年は74000回暴動が起きたと公式で発表された。翌年は85000回暴動が起きたんだという。
だが、あの重慶の暴動はその数に入っていないという。「どうしてですか?」と問えば、曰く「だって誰も死んでないもん。」
これがまずひとつの実態。
そしてあの同じ時期に重慶で行なわれた谷村新司のコンサート、最後の「昴」で観客はみなスタンディングオベーションで、日本語の歌詞で「昴」を歌った。
マスコミでは暴動の話しか出ない。両方報道しないと本当はいけない。中国上げて反日ととられかねない。
この中で9割の人が立ち上がって中国語で歌を歌えます?歌えないでしょ?
それだけ中国の日本に対する関心が高いということ。
それだからああいう談話を出しただけでも、反日デモは収まった。そういうことだと思います。
年次改革要望書について
アメリカのいうとおりにやったらうまくいくところはそうやったらいいんですよ。
うまくいかないところはやらなきゃいいんです。
それだけのことなんですよ、こっちの都合があるんですから。
で、こっちのやってほしいことは向こうにその通りに言やあいいんです。
それがあの国のいいところ。
あの国は開かれたフェアな国、公平な国だから、こっちも言いたいことは言えばいい。
だけど戦争に負けたという劣等感が、日本人の屈折した感じがわれわれの世代にはある。
何となく、青い目、パツキン──パツキンなんて言っちゃダメか、金髪、背のデカイのに言われたら、ひねてしまう。
その裏返しで、アジアやアフリカの人に対して、態度がでかかったりする。
明らかにそれは劣等感の裏返しなんですよ。
若い世代からすれば、何でこの人たちはペコペコするんだと、なんで自然にできないんだと思ってますよ。
俺は息子が・・・正確には分からんけど(場内笑)・・・22くらい、娘は二十歳になるかならないか──言っとくけど、正妻の子だからね。えらく若ぇじゃねえかと思うだろうけど、オレは43で結婚してるから、だから子供はそのくらいでおかしくないの。(場内大爆笑)年を言うとみんな変な目で見る人が多いけど。──その子たちを、今度韓国の大使が離任しますんで、向こうの子もいれて、ウチは息子が今いないんで、娘と夫妻と合計6人で飯を食いました。
その両方の子供たちが、日本語と英語といりまじったのでペチャペチャペチャペチャ話しているのを見て──まったく普通に喋れるんだよね。普通の話題──音楽、アニメーション、ファッション、全部サブカルチャー、こういう話題を延々としているんだけど、私は日本語で聞いても全然わからない、聞いたこともないようなカタカナをずっと話してる。
それを見て韓国の大使がすっかり感激をしてしまっている。
「離任するに当って息子を置いていくが、是非頼む。うちの息子が短期間で日本に馴染み、日本語が出来るようになった。お宅の娘とこれだけ普通に会話ができて、感無量だ。」
これが若い人ですよ。
俺たちの世代は難しいんだって。
正直オジサンたちは認めたほうがいいよ。かっこつけないで。
建前を言ってても、みんな屈折してるんだって、お互い様に。いじめたか、いじめられたか。みんなある。
でもこれは世界中にあるんだから。
アメリカの南北戦争でも、北部では「市民戦争」という。でも南部は「北部の侵略」という。
アメリカの独立戦争も、イギリスでは「植民地の反乱」という。
そういうものなんですって。
だけど時代が変わりつつあるんだ。
米中韓大使らとゴルフ会談(2006/5/21)
一番左が駐日韓国大使の羅鍾一氏
国債について
国債は借金というが、傍ら個人金融資産として1400兆円持ってる。
そのうち個人金融資産は70歳以上の人がその半分、700兆円持っている。
年よりは銭持ってんだって。(場内笑)
ローンも払い終わって、年金も入ってきて、元気で、暇で──そしてさびしい。これがこの人たちの最大公約数。
この人たちが郵貯で持っているのと、国債で持っているのとでは、相手が国だということでは手の内は同じ。
したがって外から見たら、右のポケットから左のポケットに入れ替えているのと同じ。
国債を海外に買ってもらう必要はまったくないのです。
アメリカのような海外に買ってもらうのとはわけが違う。
ウチは国の中だけで回っている。
だから意味が違う。
息子に金貸してるのと同じようなこと。これは返ってこねーだろうけど。(場内笑)
この土地バブルの崩壊から15年間、それまで日本企業は銀行から50兆円金を借りていました。
ところが不景気且つデフレになっちゃったもんだから、景気が下がっても下がらないのが借金の金利。
そこで企業は借金を返済したほうが利益が出ると経営者の頭のいいのはそう考えた。
ダイエーはそのまま売り上げを伸ばしてダメになった。傍ら気の利いた企業は借金を減らすほうに努力をした。結果は明らかでしょ。
借金を減らしたトヨタが一番儲かった。デフレってのはそういうもの。
資産価格が暴落した、その資産に対する担保の設定──100万円の土地が20万円になった。100万円で70万円借りられた人が、土地の値段が20万円になったら14万円しか借りられない。
差額の56万円が担保不足になった。その担保不足を京都信用金庫は返せと言っていたろ?言わなきゃおかしい。
だからみんなずーっと借金の返済をしてきた。だからずーっと頑張った結果、いま銀行は貸すより返す金の方が大きい。
銀行っていえば聞こえがいいけど、金貸しですからね、金を借りる人がいなければ成り立たない商売。
貸す金より返される金の方が大きい。おまけに預金もある。
これがデフレの圧力。
これをどこかに回さなかったらデフレになってしまう。だからその分を政府が借りた。
だからこの程度で止まった。
いまこんなこと言っているのは俺しかいないけど、そのうち知った風に書くヤツが出てくるよ。(場内笑)
だからこういうふうに見てもらうと、あのとき政府が金を借りたから、大不況にならずにすんだ。
僕は、小渕さんは借金王と言われたけど、あのときにアレをやってなかったら大恐慌になったんだと思う。
いまはまだ企業は、銀行から金を借りてまで設備投資をしようというところまでは来ていません。
だから銀行の資金需要はないんですよ。
銀行が金を貸したいような人は、まだ銀行に金を借りに来ないんです。
だから銀行は困ったことになっとる。
民間の資金需要、このくらいのことは商売をやった奴は、みんな知っとる。
そこを考えると、この国の経済が本当にいますぐ財政再建をやらなきゃいけないかどうかというのは、どうなんだろうか。
税収は増えた、これで国債発行はもういいや、借金はいらない、これは正しい。
企業が銀行に金を返し、借金はゼロになった、これも正しい。
でも全員でやったらどうなるか。ここが問題。経済用語で言う「合成の誤謬」。
たとえば麻生太郎が酒やめたゴルフやめた選挙もやめた、これは俺の身体も喜ぶし、カミサンは赤飯を炊いて喜ぶ。
でもこれを1億5千万がせーので止めたら、先斗町に限らず全部つぶれる。飲み屋食い物屋全部つぶれる。一人でやったらいいことでも、全部がやったらエライことになる。
いま企業は全部が、あの貸し剥がしやら貸し渋りやらあの野郎共にエライ目に合わされたってじーっとしているから資金需要はありません。
これがいつの段階で回復されるかは僕にはわからない。
これがいまの日本経済が抱えている一番の問題点で、この見極めが難しい。
財政再建原理主義みたいな人たちが財務省にもいっぱいいますけど、私はそれに与しない。
だから私は財務省に評判が悪いんですけどね。(場内拍手)
国連分担金、中国の靖国問題への干渉について
国連分担金、P5のアメリカ以外の4カ国、全部足しても日本より少ない。
それはちょっとおかしい。
中露の1%はなんだ、せめて5%は払えよと。ウチはそのまま払ったっていいけど、その代わり、お宅らも3~4%上乗せしなさいよと。
そしたら、最貧国対策やらユニセフやらの対策ができる。
これはすでに国連へ正式に申し込んであります。
払わせるだけ払わせといて、という話は世間では通らないという話は始めております。
日中の話は、これは敗戦を引きずっているんですよ。
長く引きずっているのは若い人にはよくないことです。
何でこのおじさんたちはペコペコしているんだと。
結果的に妙な、狭い意味でのナショナリズムを煽りかねない、これが一番問題なんだと思う。
だから外国人、何人でもいい、そういった人たちと普通に話が出来ることが大事。
威張ることなく、へりくだることなく、普通に話が出来る、自然に話が出来る、これが大事。
今の若いのは、うちの娘に限らないけど普通に喋るよ。
アメリカに行ってオミヤゲ買ってこないんだから。
オヤジに買ってこないのかと思ったら誰にも買ってこない。
「だってみんな日本の物の方が良いんだもん。」
われわれの世代じゃ考えられんね。
唯一買ってきたのがハワイでアイスクリーム10キロ。(場内笑)
「これは絶対うまいから、お父さん」って10キロ。
しょうがないから銀座のホステスに1キロずつ分けましたけど。(場内爆笑)
だって10キロのアイスクリーム入れる冷蔵庫なんてないもの。
おかげで銀座ではえらいいい思いしましたけど(笑)。
これが現実。
「これは日本にはないから。」
そういうので物を買う世代が出てきた。こういう世代がもっと育っていかないといかん。
われわれはそのつなぎの役ですから、われわれの世代の態度でその世代が妙に反発してみたり、妙なナショナリズムに陥ったりするのは、断固避けなければならん。
そのところがいま外務大臣として、その点だけは最大の注意を払っています。
普通にやる、というのが大事なところ。
ペコペコしていると思われるのはいけない。解消に努めていかないといけないところだと思っております。
ありがとうございました。
以上で、終了。
なんだか最後は感動的で、大きな拍手がずっと続いていました。
よかったです、うん。
京都フォーラム2(2007/3/17)
で、以下はちょっと気づいた小ネタ。
「息子に金貸してるのと同じようなこと。これは返ってこねーだろうけど。」
このくだりの笑いがなんともおかしかった。聞き手の頷きが大きいというか。
出席者層はお年を召した方が多かったんですが、やっぱり身に覚えが皆さんおありのようで・・・(笑)
それから「外務大臣にお尋ねします」と言おうとして、なぜか、
「外務大臣にお供えします」
となっちゃってた人がいました。
麻生さんはお地蔵様か!
確かに麻生さんの笑顔はなんだか御利益がありそうなんですけども(笑)。
この人だけでなく、関西圏の人は、質問のときの言い回しもおもしろい感じにしていて、土地柄を感じましたねえ。
あと、質問者の中に言葉遣いがすごく丁寧な女子高生がいて、麻生さんも、
「いいお家で育てられてるね。」、「格調高い、国会議員にも教えたいような日本語を使ってる。」と絶賛。
でも若い人が、ちょっと使い慣れてない感じで敬語を使う様はなんだか素敵ですね。
帰り際、駅に向かう人ごみの中でちらっと耳にした、同行者に答えたらしい若い男性の声。
「うん、おもしろかったなー」
この声だけを聞いたら、政治家の講演会の帰りとは思うまい、みたいな感じの言い方で、ちょっと笑ってしまいました。
でも、本当におもしろかったです。
今回は、箇条書きばかりの内容ですみません。
週明けには外務省のサイトにももっときちんとした内容が上がると思いますが、とりあえずすごくよかったので。
また機会があれば行きたいです。
京都フォーラム3(2007/3/17)
スポンサーサイト
2007.03.18 23:56 | 麻生太郎さんの講演 |
トラックバック(0) | コメント(2)
|
コメント一覧
麻生さんの話をこうして読ませていただけて本当にありがたいです。いつもご苦労様です。
そして、麻生さんの話を聞いていると(読んでいると)、日本がすごく好きになれるというか、自信を取り戻せると言うか、前向きな気持ちで日本を見ることができるようになります。
やっぱり次期首相は麻生さんしかいない!!自国を愛したくなるような話ができる麻生さんにこそ、この国を引っ張って欲しいと感じますね!!
2007.03.20 22:06 URL | tamagonta #- [ 編集 ]
tamagontaさま
自分の備忘録気分で始めたこのブログですが、こうして喜んでいただけると始めてよかったなあと思います。
いろいろな方にいらして頂いているようで、「やっぱり麻生さんはすごく人気があるなあ」と実感できて、それも本当に嬉しい♪
私も麻生さんのお話には、いつも勇気づけられています。
その中でも特に気に入った言葉をこうして書き起こしたりするたびに、それだけで元気をもらえるんですよね。
やっぱり次は麻生さんですよね!
2007.03.21 00:21 URL | ひつじ帝国 #JjQcfDfE [ 編集 ]
トラックバック
トラックバックURL↓
http://dailytaro.blog78.fc2.com/tb.php/126-40c92d05
| ホーム |